琉球と三陸の芸能交流

プロジェクト ─2022

TITLE
琉球と三陸の芸能交流

琉球と三陸の芸能交流

琉球舞踊・組踊・三線・琉球箏・沖縄芝居など琉球の芸能の次代を担う髙井賢太郎、棚原健太、町田倫士が宮古市に滞在。多様な郷土芸能のリサーチや地域交流等を行います。

AREA
宮古市|郷土芸能界隈
ARTIST
髙井賢太郎 Kentaro Takai(琉球舞踊家・組踊 立方)
髙井賢太郎 Kentaro Takai(琉球舞踊家・組踊 立方)
神奈川県出身。玉城流敏風利美の会 所属(仲間若菜、安次嶺利美に師事)。日本体育大学 体育学部 武道学科 伝統芸能領域にて、伝統芸能を学ぶ中で琉球舞踊、組踊に出会う。沖縄県立芸術大学(修士課程)を修了。国立劇場おきなわの組踊養成研修では、人間国宝をはじめとする講師陣から組踊実技、琉球舞踊を学ぶ。現在は、国立劇場おきなわ主催公演はじめ県内外での舞台出演やワークショップや組踊の普及活動に取り組んでいる。その他、琉球芸能公演の自主制作活動にも取り組んでいる。第55回 琉球新報 琉球古典芸能コンクール 琉球舞踊部門 最高賞 受賞。
ARTIST
棚原健太 Kenta Tanahara(歌三線・組踊 地方)
棚原健太 Kenta Tanahara(歌三線・組踊 地方)
沖縄県出身。琉球古典音楽野村流保存会 所属(比嘉康春に師事)。19歳から本格的に三線を始める。沖縄県立芸術大学では、沖縄の伝統芸能や関連する芸能史等について学ぶ。のちに同大学院に進学。国立劇場おきなわ組踊養成研修では人間国宝をはじめとする講師陣から琉球古典音楽および組踊•琉球舞踊の地謡実技を学ぶ。現在は県内外の琉球芸能公演への出演ほか、WSやアウトリーチなどで組踊や琉球古典音楽の普及活動に取り組んでいる。2019年年度沖縄タイムス 伝統芸能選考会 三線の部 グランプリ 受賞。(一財)地域創造 公共ホール邦楽活性化事業 登録演奏家(令和4・5年度)。
ARTIST
町田倫士 Norito Machida(琉球筝・組踊 地方)
町田倫士 Norito Machida(琉球筝・組踊 地方)
沖縄県出身。琉球箏曲興陽会・琉球古典音楽湛水流保存会 所属(山内照子に師事)。幼少期からのエイサー好きが高じて伝統芸能の道へ。琉球大学 法文学部 国際言語学科琉球アジア文化専攻にて、琉球文学・中琉関係史について見識を深めたのち、沖縄県立芸術大学(修士課程)へ進学。国立劇場おきなわ組踊養成研修では、人間国宝をはじめとする講師陣から組踊•琉球舞踊の地謡実技や琉球箏曲を学ぶ。現在は、国立劇場おきなわ主催の企画公演のほか、紀尾井ホールでの公演など、県内外で舞台活動に取り組んでいる。第53回琉球新報 琉球古典芸能コンクール 箏曲部門 最高賞 受賞。
滞在期間
2023年2月10日(金)~24日(金)
内容
郷土芸能のリサーチや地域交流・発表。
主催
NPO法人いわてアートサポートセンター(宮古市民文化会館)
助成
文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)独立行政法人日本芸術文化振興会

滞在地域

宮古市

詳細は下記

森、川、海に囲まれた三陸海岸に面する市、宮古市。
本州最東端の地である「魹ヶ崎」を擁し、世界三大漁場・三陸沖の豊かな漁業資源や、三陸復興国立公園・浄土ヶ浜や早池峰国定公園など、自然環境を背景に漁業と観光に力を入れている。黒森神楽をはじめ、40を超える郷土芸能があるほか、縄文時代の遺跡・崎山貝塚、戊辰戦争の一つ宮古湾海戦の地など歴史が点在している街。

宮古市

イベント

EVENT1

TITLE
琉球を感じるミニワークショップ&コンサート【琉球舞踊編】

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沖縄の伝統芸能とはというところから琉球舞踊が一体どのようなものなのか、実演を交えて解説します。参加者には琉球舞踊を実際に身体を動かしながら簡単に体験してもらいます。白塗り化粧の実演も行います。

日時
2023年2月12日(日) 14:00~15:00
会場
宮古市民文化会館 中ホール
マップ
定員
30名
参加費
無料
持ち物
特になし
Web申込
https://forms.gle/2zsKRkhQ8FfCjCSQA
お問い合わせ
宮古市民文化会館
〒027-0023 岩手県宮古市磯鶏沖2-22
TEL:0193-63-2511 FAX:0193-64-5445
iwate-arts-miyako.jp

EVENT2

TITLE
琉球を感じるミニワークショップ&コンサート【古典音楽編】

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実演を交えながら沖縄の音楽や楽器について解説します。琉歌と呼ばれる沖縄の歌をみんなで即興的につくってみるという体験を行います。WSの最後には23日の公演がもっと楽しくなるよう演目の解説やみどころも紹介します。

日時
2023年2月21日(火) 19:00~20:00
会場
宮古市民文化会館 中ホール
マップ
定員
30名
参加費
無料
持ち物
特になし
Web申込
https://forms.gle/2zsKRkhQ8FfCjCSQA
お問い合わせ
宮古市民文化会館
〒027-0023 岩手県宮古市磯鶏沖2-22
TEL:0193-63-2511 FAX:0193-64-5445
iwate-arts-miyako.jp

EVENT3

TITLE
琉球舞踊と琉球古典音楽in岩手

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二週間の滞在を終えた3人の伝統芸能活動家による伝統芸能発表会。
沖縄の舞踊と古典音楽を本格的な舞台でお届けするほか、岩泉高校郷土芸能同好会との共演も行う。

日時
2023年2月23日(木・祝) 14:00開演(13:30開場)
会場
宮古市民文化会館 大ホール
マップ
料金
一般 1,000円
高校生以下 500円
未就学児無料
プレイガイド
宮古市民文化会館 窓口
Web予約
https://forms.gle/gSKgRsUDTckvbxk68
お問い合わせ
宮古市民文化会館
〒027-0023 岩手県宮古市磯鶏沖2-22
TEL:0193-63-2511 FAX:0193-64-5445
iwate-arts-miyako.jp
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策について
①37.5度以上の発熱、咳やのどの痛み、強い倦怠感などの症状がある方のご来場はお控えください。ご来場の際にはマスクを着用し、公演中もはずすことの無いようにお願いいたします。 ②客席は、舞台からの距離を確保し、客席数を制限しております。 ③空調設備を適切に稼働させ、必要に応じて扉を開放するなど、十分な換気を行います。 ④お花やプレゼント・差し入れはお断りしております。 ⑤チケット販売の際にお伺いした個人情報は当日の受付のほか、新型コロナウイルス感染者が発生した場合にのみ保健所等の公的機関へ提供することがありますのでご了承ください。

映像

琉球舞踊と琉球古典音楽

公演:2023年2月23日(木・祝)
会場:宮古市民文化会館大ホール

インタビュー

レポート

レポート|髙井賢太郎・棚原健太・町田倫士

 今回、令和5年2月9日(木)〜24日(金)、移動日を除き14日間、宮古市に滞在しました。沖縄の古典芸能を生業とする私たちが取り組む、アーティスト・イン・レジデンスでは新しい人や環境に囲まれて伝統芸能を演じる沢山の価値に気付かされました。また、これまでとは違う環境下での創作活動は、作品がつくれる、新たな発見や学びに気づけたという恩恵よりも私たちが”人”であるということを実感。伝統芸能および芸術文化が、従事者が人間である以上、人に関わり、人に支えられ、人とつながってこそ成り立つものであるということも再確認できました。

 宮古市田老地区を訪れ「学ぶ防災」ツアーでは、被災地を見学し、記録映像を視聴しながら、被災したガイドさんのお話を伺いました。体験者の言葉には説得力と重みがありました。そんな言葉と人に触れ、感じるのは、被災も伝統も誰かが語り続けていかないと、つなぎつづけていかなければ消えて無くなってしまう、あたかもなかったようになってしまうのではないだろうかと感じます。それは私たちの取り組む伝統芸能も、沖縄の戦争体験もまったく同じ。その言葉と人に触れた人が、気付いた人が目を向けた一人ひとりが伝えていく、つないでいくという当たり前だけど大切なことにも気付かされました。
 また、三陸復興国立公園「浄土ヶ浜」や「龍泉洞」、「黒森神楽」等、日頃の活動で出逢えない三陸の自然や文化に触れた経験は私たちのこれからの芸術活動において有意義な体験かつ学びとなりました。

 琉球芸能に関するワークショップは市立山口小学校で4回実施。舞踊・古典音楽の実演のほか、楽器紹介や体験(歩み・こねり手)等、沖縄の伝統芸能について理解を深めつつ地元の伝統や文化を好きになれるような気持ちを着地点にプログラム開発を行いました。一般向けのワークショップは計2回。化粧の実演や琉歌をつくる試みはこれまで沖縄県内でもあまり行われてこなかったものの、新しい体験につながると確信できました。
 宮古市長を表敬訪問した際にはレジデンスの活動報告と併せ、本公演告知PRを行いました。市長、市役所、宮古市民文化会館の皆様の計らいで2/20-22の3日間、市役所2階ロビーにてランチタイムコンサートを実施。多くの市民の方々と伝統を通して触れる機会となりました。

 創作活動は2つ。岩泉高等学校郷土芸能同好会との協演作品作りと創作舞踊『雪踏(ゆきふみ)』の制作です。同好会が取り組む「中野七頭舞」へのヒアリング等を踏まえ、相互の小道具の対比や五穀豊穣に対する予祝文化の共通性をもとに、「中野七頭舞」と琉球の古典舞踊「ぜい」をモチーフに10分程度の舞踊作品に仕立てました。
 創作舞踊は、滞在期間の体験や出会いを琉歌と音楽にのせ、現地で借りた三度笠や琉歌の世界観を舞踊で表現。雪踏と題し、自分達の足元を見つめ直すきっかけとなった滞在での出会いや体験を心に留め、自分達の足元を踏み固めつつ、あらゆる”道”を創るという想いを「降雪の多い地域にて往来の道をつけるために、路上の雪を踏み固める行為」に重ね合わせました。

 2/23(木)に行われた成果発表公演では約200名の観客が来場。第1部では古典舞踊や古典音楽を、第2部では岩泉高校・郷土芸能同好会との共演や滞在の体験から創り上げた創作舞踊を披露しました。2週間の滞在でわたしたちがつくった作品をたくさんの人に見ていただけたこと、嬉しく。私たちのレジデンスを支えてくれた人と滞在で出逢った人たちを目の前にし、改めてたくさんの人に支えられた2週間だったと実感し、感謝の想いと伝統をつないでいく上で大切なものを再確認しました。

担当者コメント

今回の滞在では「宮古」というまちの生活・文化を中心に体験・リサーチしました。約2000kmも離れた沖縄と宮古の違いはもちろんのこと、共通することも多々あり、お互いに驚いたことが印象に残っています。
滞在期間中にはワークショップを一般の方と小学校に向けて実施したほか、隣町の岩泉高等学校・郷土芸能同好会とも郷土芸能を通して交流を深めることができ、貴重な体験となったと思います。
成果発表会で披露した創作舞踊『雪踏(ゆきふみ)』では、沖縄独特の音楽と踊りの中に宮古を随所に感じることができ、とても感動しました。今回のみに留まらず、ぜひまた宮古で公演・披露をしていただけるような機会をつくりたいと強く感じました。

宮古市民文化会館
島香

  • NPO法人いわてアートサポートセンター(AIR/AIR担当)
  • 〒020-0874 岩手県盛岡市南大通一丁目15-7 盛岡南大通ビル3階
  • TEL:019-656-8145 FAX:019-656-8146
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