生活、文化、風土のなかのおどりを探る

プロジェクト ─2023

TITLE
生活、文化、風土のなかのおどりを探る

生活、文化、風土のなかのおどりを探る

三陸・宮古市に滞在し、生活、文化、芸能などをリサーチ。地域交流も行いながら滞在成果発表を行います。

AREA
宮古市
ARTIST
横山彰乃 Ayano Yokoyama(ダンサー・振付家)
横山彰乃 Ayano Yokoyama(ダンサー・振付家)
ダンサー / 振付家
長野県大町市出身。2016年よりダンスカンパニーlal bansheesを主宰する。
感覚に着目した独自のムーヴメントを探求する。見落として通り過ぎてしまうような現実をファンタジックに切り取った情景を意識した空間作りと、音との繋がりが緻密で性別に囚われない振付で、包みきれないものや意図せず溢れ出てしまうダンスならではの瞬間を踊り立ち上らせる。
近年の主な作品に、全編生演奏による『幽憬』、再演を続けるlal banshees『海底に雪』、ヨーロッパダンスプラットフォームであるAerowaves, Spring forward招聘ソロ作品『水溶媒音』など。横浜ダンスコレクション2020 審査員賞、第16回日本ダンスフォーラム賞等受賞。セゾン文化財団セゾン・フェローⅠ
http://www.yokoyamanaa.com/
滞在期間
2023年8月19日(土)〜26日(土)、10月24日(月)〜29日(日)
内容
市民の生活、文化、郷土芸能などをリサーチし、ダンス作品を創作する
主催
特定非営利活動法人いわてアートサポートセンター
企画製作
宮古市民文化会館

滞在地域

宮古市

詳細は下記

森、川、海に囲まれた三陸海岸に面する市、宮古市。
本州最東端の地である「魹ヶ崎」を擁し、世界三大漁場・三陸沖の豊かな漁業資源や、三陸復興国立公園・浄土ヶ浜や早池峰国定公園など、自然環境を背景に漁業と観光に力を入れている。黒森神楽をはじめ、40を超える郷土芸能があるほか、縄文時代の遺跡・崎山貝塚、戊辰戦争の一つ宮古湾海戦の地など歴史が点在している街。

宮古市

イベント

EVENT1

TITLE
《風土》を知る座談会

《風土》を知る座談会

様々な土地に滞在経験のある振付家と宮古市に生まれ育った市民とで、歴史と風土、その生活を教え合い、
昔から繰り返し引き継がれたその地域ならでは営みから生まれる踊りや表現を、お茶を飲みながら緩やかに考えてみる会。

日時
2023年8月19日(土)18:00〜19:30
会場
宮古市民文化会館
マップ
定員
一般募集、公開はしていません。後ほどレポートにて詳細を公開させていただきます。
お問い合わせ
宮古市民文化会館
〒027-0023 岩手県宮古市磯鶏沖2-22
TEL:0193-63-2511 FAX:0193-64-5445
iwate-arts-miyako.jp

EVENT2

TITLE
高校生ダンスアウトリーチ

宮古市内の高校生に向けてダンス・身体表現アウトリーチを行います。

日時
2023年8月23日(水)
対象
岩手県立宮古商工高等学校(工業校舎)1・2年生

EVENT3

TITLE
沢が海にそそぐ -風土から生まれる誰かとわたしのおどり-

沢が海にそそぐ -風土から生まれる誰かとわたしのおどり-

様々なレジデンスプログラムに参加する横山彰乃が岩手県・宮古市に2週間滞在。本公演ではその滞在成果発表として、宮古市に住む人々の[お話]をその場で集める座談会をひらくほか、人々の生活や昔話、歴史、風土を見聞き、得た体験から創作したダンス作品を披露します。

日時
2023年10月29日(日)14:00開演 *30分前開場
会場
宮古市民文化会館中ホール
入場料
無料
ご来場希望の方は宮古市民文化会館までお問合せください。
マップ
お問合せ
宮古市民文化会館
〒027-0023 岩手県宮古市磯鶏沖2-22
TEL:0193-63-2511 FAX:0193-64-5445
iwate-arts-miyako.jp
募集中
昔おばあちゃんたちからきいたことのあるお話、個人的な海や山での出来事や、不思議な体験などのエピソードを募集しています。日常の些細な出来事でもかまいません。座談会や新作ダンスの参考にさせてください(お気軽に!)。たくさんのご応募お待ちしています。
エピソードの投稿はこちら→https://forms.gle/gg27Um2yRaACb77v8
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策について
①37.5度以上の発熱、咳やのどの痛み、強い倦怠感などの症状がある方のご来場はお控えください。ご来場の際にはマスクを着用し、公演中もはずすことの無いようにお願いいたします。 ②客席は、舞台からの距離を確保し、客席数を制限しております。 ③空調設備を適切に稼働させ、必要に応じて扉を開放するなど、十分な換気を行います。 ④お花やプレゼント・差し入れはお断りしております。 ⑤チケット販売の際にお伺いした個人情報は当日の受付のほか、新型コロナウイルス感染者が発生した場合にのみ保健所等の公的機関へ提供することがありますのでご了承ください。

映像

インタビュー

レポート

レポート|横山彰乃

初めての宮古市。 8月滞在は、関東とそう変わらない、東北と思えないくらい連日暑い中、宮古の人々の生活を垣間見たり話を聞いた。自分の中でAIR=その地で、人に出会うこと、歩くこと、食べること、みたいになりつつある。生粋の宮古の人、漁港の王子、震災後移住組の方々、各地を転々とした大将さんなどなどいろんな方から今と昔の宮古の話を聞き、全然知らない街での暮らしを想像し、でも観光で訪れているのとは違う感覚になる。現地の人の話を聞いてから歩く方が何も知らず想像だけで歩くより感じることが多かった。何度も津波で流されてはまた同じ場所にできる集落を目にして「言い伝える」ということについてぼんやり考えていた。滞在でいろんな人から宮古の話を聞いたことで、かつての日常や出来事を、語りや踊り、音楽にしたものが民話や神楽の民俗芸能としてあることを肌で実感した。また、同じことについて話していても、その人の言葉で話すことで人によって差があることに気づく。民話って人から人へ話したことが拗れて、渦になって残っているんだなということを体感した。暮らしに根ざしている神楽や鹿踊りは、パフォーミングアーツとしてのダンスとは真逆にあるように思う。

今回の滞在で面白いなと思ったことの一つに、滞在へ向けて下調べしてる際、インターネットで見ていた定説と、地元の人たちが話すそれらにギャップがあったこと。記憶の曖昧さや、その人の感覚が上乗せになって人によって言ってることが全然違うこと。人から人へ、当たり前で小さくて気づかないような、最小単位で交わる話が、他所からの影響や又聞きによって生じる食い違いや妄想が、拗れて、渦巻いて、とんでもなく大きなものになったりならなかったりして何百年先まで残っている。今に残っているもの、消えてしまったもの。暮らしの中で誰かに話をする。それが踊りになってきたこと(黒森神楽の新作があることも)。生身の声だけで語り継ぐということは現代ではかなり少ないと思う。インターネットがあることで新たな拗れが生まれていそうとか思いつつ。それでも、遠野物語ではないけど、現代の当たり前のようなことが、いつの日にか民話として語り継がれているかもしれない。宮古滞在で、人から人へ語り継ぐことの面白さに気づかせてもらった。また、民俗芸能として踊りがあることが、言葉がわからない人や、言葉よりも記憶に残るものとして存在したのかなと想像する。踊りが決して特別な人だけのものではない、暮らしの中にあるものだと思わせてもらえた。そういった気づきによって、自分にとっても新しい発表形式にチャレンジする気持ちにさせてもらった。パフォーマンスで終了予定だったところ、自然と鑑賞者の方々がポストトークくらいの時間残って話してくれたことが嬉しかった。ちょっとした流れで、鑑賞者の身体や、思考というよりもっとささやか何かが変わることを目の当たりにした。発表というよりわたしが体感させてもらったというか、話している中に踊りを混ぜてもらえた感じ。踊りを特別にしない。ずっと自分が踊りとダンス(≠dance)を分けて考えていたことに気づいた宮古滞在だった。自分がやりたいのって今も昔も踊りの方なのではないかとか。これからも考え続けることでもある。

知らない土地に行き、そこで暮らす人たちの話を聞く。自分がよく知っている土地のものとの違いに気づいて、そこに暮らす人たちのDNAに刻まれているようなものを垣間見る(拗れ含む)。自分の了見が広がり枝分かれする。今の自分にとって、AIRはその地の作品を作り残すというより、世代の違う人はもちろん、そこに暮らすどうやっても会わなかったであろう人や文化や環境に出会うこと、再び訪れる約束をすることのように思う。陸の孤島と言われ、北上山地に隔たれているけど、海路からいろんな文化が入ってきて混ざりまくってる海側の宮古と、北上山地の山側の宮古。宮古の海岸段丘の岩肌はめちゃくちゃかっこよかった。少しだけ岩と踊った。地元長野の若い北アルプスと1億年以上前の宮古の海岸段丘との岩の違いを感じながら。機会があれば、宮古の岩肌と踊るのをもっとやりたい。https://www.instagram.com/yokoyamanaa/

湯立や巡業、神楽衆の話や、北上山地も気になる。また宮古を訪れたい。

担当者コメント 宮古と言えばと海、とイメージする方が多く、これまでのレジデンスアーティストも沿岸をメインとしたリサーチが多い中、山にも焦点を当てた横山さんのリサーチにこちらも多くを学びました。生活様式の違いの他にも、厳しい冬の乗り越え方や野生の動物たちが生きる自然環境に改めて宮古市の豊かな資源を考えるきっかけとなりました。滞在成果についても横山さんは新しい発表の形に挑戦され、ダンスが生まれていく瞬間に立ち会えたことをとても光栄に思います。終演後のフリータイムには多くの観客が残り談笑されていたのがとても印象的でした。短い間でしたが本事業にご協力いただきましたこと、大変嬉しく思います。また機会がありましたらぜひ遊びにきてください。

大原

  • NPO法人いわてアートサポートセンター(AIR/AIR担当)
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