現代の”郷土芸能のような何か”を新しく作るとしたら
プロジェクト ─2024
- TITLE
- 現代の”郷土芸能のような何か”を新しく作るとしたら
三陸の郷土芸能をリサーチし、伝統的に根付く踊りを考え創作します。
- AREA
- 宮古市
- ARTIST
- 長谷川 暢 Toru Hasegawa
-
- 09年より東京打撃団にて和太鼓奏者として活動開始。12年よりダンスカンパニーCo.山田うんにダンサーとして所属。
国内外のカンパニー公演やワークショップに参加する一方、冨士山アネット、おしゃれ紳士×梅棒、加藤みや子、中村蓉のダンス作品、東日本大震災がテーマの作品「いのちてんでんこ」(みんなのしるし)や、日生劇場「あらしのよるに」等のミュージカルにも出演している。個人では、太鼓を中心とした”楽器を演奏する身体”と、日本人の身体と生活に寄り添うアートとしての郷土芸能に着目し、リサーチや作品創作を実施。19年には和太鼓+ダンスユニット<まだこばやし>を設立し、打楽器とダンスの全員兼任、同時展開によるパフォーマンスで活動中。ワークショップリーダーとしても精力的に活動しており、楽器を鳴らす身体性を活かした「ダンス×太鼓」の表現ワークショップ、オリジナル盆踊りの作成にも力を入れている。またHokuriku Dance Festivalでの即興パフォーマンス演出、23年日韓芸能交流公演などのコラボレーション、シンガーソングライターなど活動は多岐に渡り、舞踊と音楽、生活と表現、土地と人などを幅広く”繋ぐ異物”としての表現活動を目指す。18年ソロ作品「なるほど」で、北海道ダンスプロジェクト「新たなる挑戦」NEXT ONE賞受賞。
- 滞在時期
- 6月25日〜7月2日、3月13日〜16日
- 内容
- 三陸の郷土芸能をリサーチし、伝統的に根付く踊りを考え創作します。
- 主催
- 特定非営利活動法人いわてアートサポートセンター
- 企画製作
- 宮古市民文化会館
- 助成
- 文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化事業))|独立行政法人日本芸術文化振興会
滞在地域
宮古市
森、川、海に囲まれた三陸海岸に面する市、宮古市。
本州最東端の地である「魹ヶ崎」を擁し、世界三大漁場・三陸沖の豊かな漁業資源や、三陸復興国立公園・浄土ヶ浜や早池峰国定公園など、自然環境を背景に漁業と観光に力を入れている。黒森神楽をはじめ、30を超える郷土芸能があるほか、縄文時代の遺跡・崎山貝塚、戊辰戦争の一つ宮古湾海戦の地など歴史が点在している街。

イベント
EVENT1
- TITLE
- 高校アウトリーチ
宮古市内の高校生に向けて、ダンス・身体表現のアウトリーチを行います。
- 日時
- 2024年6月26日(水)
- 会場
- 岩手県立宮古商工高等学校(工業校舎)
EVENT2
- TITLE
- 保育所アウトリーチ
宮古市内の未就学児に向けて、ダンス・身体表現のアウトリーチを行います。
- 日時
- 2024年6月27日(木)
- 会場
- 磯鶏保育所
EVENT3
- TITLE
- 高校アウトリーチ
宮古市内の高校生に向けて、ダンス・身体表現のアウトリーチを行います。
- 日時
- 2024年6月28日(金)
- 会場
- 岩手県立宮古商工高等学校(商業校舎)
EVENT4
- TITLE
- 宮古風にノる、あれ。

6月24日〜7月2日にかけて滞在し宮古市内をリサーチした長谷川暢による滞在成果発表を行います。
- 日時
- 2025年3月16日(日) 13:30開演
*30分前開場
- 場所
- 宮古市民文化会館
- 料金
- 500円
- マップ
- お問合せ
- 宮古市民文化会館
〒027-0023 岩手県宮古市磯鶏沖2-22
TEL:0193-63-2511 FAX:0193-64-5445
iwate-arts-miyako.jp
- 新型コロナウイルス感染症拡大防止対策について
- ①37.5度以上の発熱、咳やのどの痛み、強い倦怠感などの症状がある方のご来場はお控えください。ご来場の際にはマスクを着用し、公演中もはずすことの無いようにお願いいたします。 ②客席は、舞台からの距離を確保し、客席数を制限しております。 ③空調設備を適切に稼働させ、必要に応じて扉を開放するなど、十分な換気を行います。 ④お花やプレゼント・差し入れはお断りしております。 ⑤チケット販売の際にお伺いした個人情報は当日の受付のほか、新型コロナウイルス感染者が発生した場合にのみ保健所等の公的機関へ提供することがありますのでご了承ください。
映像
インタビュー
レポート
レポート|長谷川 暢
2024年6月24日~7月2日、岩手県宮古市の宮古市民文化会館のアーティスト・イン・レ ジデンス企画「三陸AIR/AIR」に参加させていただきました。私は郷土芸能のリサーチ を創作や舞踊の種として活動しているので、今回の滞在のテーマを「”現代の郷土芸能、 のような何か”を新しく作るとしたら(仮)」とし、主に三陸地方に伝わる芸能のリサーチ をメインするつもりでこの9日間に臨みました。もちろん津軽石さんさの稽古体験、小国の神楽共演会鑑賞と自分では中々触れられない芸能と出会えたことも素晴らしかったのですが、私の中で印象に残ったのは、宮古市という場所そのものと、そこで暮らしている人の日常であったと思います。
何かひっかかった、という方が近いのかもしれません。
魚市場で不漁に悩みながら働く人々や、直売を辞めてしまうタラフライの工場や、ぎこちなく楽しんでくれるワークショップの子どもたちをよく覚えています。浄土ヶ浜などの 観光名所は素晴らしく美しく、みやっこベースでは子どもの未来に向けた様々な活動が 行われていますが、キャトルという商業施設の跡地に何が欲しいかというアンケートを イーストピアで付箋で壁に貼っていて、具体的な願いは都会的なものによっていました。
私の中で芸能は生活の最もそばにある音楽や舞踊の一つだと思っていて、芸術は視点あるいは切り口だと認識しています。郷土芸能に関わる方々からも、芸能と暮らすということについて、場所を守ることともお聞きしました。
今、何か作るとしたら、今の宮古市を眼差したものでありたいなと思いました。

宮古市の宮古市たるものはほとんどが海側にあると気づきました。小国の神楽共演会に行った時、かなり山の奥深くに入った印象だったのですが、そこも宮古市であると知り、あらためて宮古市には山側の世界もあると気づきました(2度の合併があったのでどう認識するかは諸説あるとは思いますが)。早池峰山周辺の神楽は同じ団体で鹿踊もさんさもやると聞いて、全く違う、しかし深い世界観があると思いました。9日間で宮古市に たくさん触れたつもりでいましたが、山のことを全く知れなかったな、せっかくなら山側も見なければと思い、12月の自主滞在を決行しました。
12月はゲストハウス3710に泊まり、笑びす屋さんの店員さんである藤田さんとお友達の矢崎さんに地元の人しか知らない名所にたくさん連れて行ってもらいました。美しさだけではない、場所が人に与える一種の味わいのようなものを感じました。
フィールドノートは宮古市の山奥タイマグラという場所にある山小屋です。そのゾーンに入った途端一気に雪景色。世界の隔たりを感じます。ご主人の息子さんが神楽の舞手さんで、いろんなお話を聞けました。知識ではなく、強大な自然を身体で体験することが何より大きな力になったと思います。

成果発表:宮古風にノる、あれ。
成果発表は1時間前後と聞いて、1時間のソロパフォーマンスを作ることになりました。 今考えればそこまでしなくても良かったのかもしれませんが、なぜかそう思ってしまいました。ソロで1時間は初めての経験です。
宮古市の海側と山側をつなぐ風のイメージからスタートし、滞在での経験をシーンにしようと試みつつも、あまり難しく考えずに、芸能ということにもこだわりすぎず思いついたことを大まかに形にして、大まかにつなげました。理論ではなく、体験した私というフィルターを通すことでもうそのテーマに沿っている、という半ば強引な姿勢です。
結果、OP、儀式的な”寄風”、魚市場をイメージした”海風”、輪踊りの”輪風”、山側の”木風”、太鼓&ギター曲”鼓風”、神楽イメージの”楽風”、バチ踊りの”鳴風”、タイマグラの星空”星風”という8シーン構成となりました。不思議と自然と体験を投影できている(ような気になれた)のはやはり知識ではない、滞在、体験のなせる技だなと思いました。
作品を決定づけてくれたのはおそらく差し込んだ宮古市の様々な映像と、遠野市の板澤しし踊り保存会から頂いた白樺のカンナガラでした。海にも山にも風にも成る神秘的な 美しさはラストシーンを始め、この作品を決定づけるものであったと思います。
当日3月16日はあいにくの雪模様でしたが、来ていただいたお客様の中には私を知らずに来てくださった方も多く、本当に感謝しています。もっとお客様からたくさん感想を聞きたかったのが悔やまれるところですが、アンケートでとても暖かく嬉しい感動の声をいただけて感無量です。
よそ者らしくこだわり過ぎず、しかし滞在したからこその作品になってくれたことをとても嬉しく思っています。三陸、岩手、東北の皆様にとってどんなものになりうるか、もっとたくさんの人に見て欲しいと思いますし、作品中の輪踊りなんかはみんなに踊って欲しいとも思っています。せっかく生まれた作品なので、いろんな形でどんな風に人々と関われるのか、また実験・実践できたら嬉しいです。

このような貴重な機会を与えてくださった宮古市民文化会館の大原さん、坂田さん始め、作品作りに全力で協力してくださったスタッフの皆様、関わってくれた宮古市の皆様と宮古市自体に改めて深く深く感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
ダンサー・和太鼓奏者
長谷川 暢
担当者コメント
夏・冬と続けて滞在いただいた長谷川さんには、タイトなスケジュールの中、芸能団体や太鼓部、「学ぶ防災」などのリサーチに加え、高等学校や保育所へのアウトリーチ活動にもご尽力いただきました。
ダンスと太鼓という異なる要素を組み合わせ、さらにミキサーなどの機材を巧みに活用したプログラムには、大きな驚きと感動を覚えています。
また、自主的に滞在され、三陸・宮古への理解をより深めようとする姿勢にも、心から感謝しております。
成果発表は、ダンス、太鼓、ギターと多彩な構成でありながら、一つの作品として見事にまとまっており、三陸や宮古に限らず、他地域での上演にも十分に通用する内容だと感じました。
今後のさらなるご活躍と展開を楽しみにしております。このたびは誠にありがとうございました。
宮古市民文化会館
大原