つどえ!鹿踊の庭

プロジェクト ─2025

TITLE
つどえ!鹿踊の庭

つどえ!鹿踊の庭

サイッコーにかっこよくておもしろい、住田町の風土、文化、営み、誇りが詰まった柿内沢鹿踊りを地元の人たちと一緒に味わいたい。

AREA
住田町
ARTIST
清水穂奈美(俳優)
清水穂奈美(俳優)
演劇カンパニー・かもめマシーンに所属。気功や太極拳などの思想・方法を取り入れながら、身体性を重視した演技・パフォーマンスを行う。2016-2018年、ロンドン拠点のダンサー・振付家ショーネッド・ヒューズ(Sioned Huws)が主催するプロジェクト「Odori-Dawns-Dance」プロジェクトへ参加。
ARTIST
木村玲奈(振付家・ダンサー)
木村玲奈(振付家・ダンサー)
風土や言葉と身体の関係、人の在り方 / 生き方に興味をもち、国内外様々な土地で創作・上演を行う。2015-2018年、「Odori-Dawns-Dance」プロジェクトへ参加。2019-2020年セゾン・フェロー Ⅰ、2020年より ダンサー・WEBエンジニア・観察者・美術家・舞台制作者と共に「6steps」という団体を立ち上げ活動中。
ARTIST
西井裕美(俳優)
西井裕美(俳優)
新国立劇場演劇研修所6期修了生。2017年、個人ユニット『24EP』を発足。弾き語りでのライブ活動やピアノ演奏、作曲なども手掛ける。
ARTIST
伊藤新(俳優)
伊藤新(俳優)
1994年、劇団ダミアンを旗揚げ。現在は、かもめマシーンをメインに俳優としても出演するほか、舞台監督等を行う。
ARTIST
若林里枝(ダンサー)
若林里枝(ダンサー)
3歳からクラシックバレエを習い始め、大学在学中にコンテンポラリーダンスと出会う。振付家•ダンサーの手塚夏子とNPO法人STスポット横浜が協働で立ち上げた「民俗芸能調査クラブ」(2011年〜2015年まで)に参加。
2017~2018年、Odori-Dawns-Danceプロジェクトへ参加。
滞在期間
3月22日(土)~3月29日(土)
内容
余所者でありながら柿内沢鹿踊を踊り続けてきたアーティストたちが住田の風土・文化、人々の営み・誇り、価値観など、住田の共同体が育んできたものを地域の人々とともに新に共有、体験する。
主催
岩手県沿岸広域振興局、特定非営利法人いわてアートサポートセンター
共催
住田町
協力
三陸国際芸術推進委員会、陸前高田アーティスト・イン・レジデンスプログラム、Sioned Huws

滞在地域

住田町

詳細は下記

住田町は森林面積が9割を占め、林業が盛んな人口5000人ほどの小さなまち。
平安時代は金山の砂金集落として栄え、江戸期からは藩境の地、内陸と沿岸を結ぶ交通の要衡として発展。豊かな森林資源と鉱山資源からかつては製鉄が行われ、洋式高炉などの史跡が点在する。
町内には、東北には珍しい「下在大名行列」、金山掘りが伝承したという「大平・梅の木念仏剣舞」など藩政期からつづく郷土芸能が多数伝承されている。
また、住田町と奥州市の境に位置する種山ヶ原は、宮沢賢治がこよなく愛した場所と言われ、小説「風の又三郎」の舞台として描かれている。

住田町

イベント

EVENTEVENT1

TITLE
つどえ!鹿踊の庭

つどえ!鹿踊の庭

チラシを見る

余所者でありながら柿内沢鹿踊を踊り続けてきたアーティストたちが地域の人々と住田の風土・文化、人々の営み・関係、誇り、価値観など、住田の共同体が育んできたものを新たに共有、体験する。つどえ!鹿踊の庭。

日時
2025年29日(土)14時~17時
14:00~15:30ころ 口唱歌体験・演舞
15:45~17:00ころ トーク、踊り・装束体験など
会場
住田町役場庁舎 町民ホール
出演
清水穂奈美(俳優)
木村玲奈(振付家・ダンサー)
西井裕美(俳優)
伊藤新(俳優)
若林里枝(ダンサー)
柿内沢鹿踊保存会
マップ
アクセス
住田町役場庁舎町民ホール
〒029-2396岩手県気仙郡住田町世田米字川向88-1
● JR東北新幹線水沢江刺駅から車で約45分
● JR釜石線上有住駅から車で約30分
● いわて花巻空港から車で約60分
● 東北横断自動車道釜石秋田線宮守ICから車で約30分
● 大船渡市・陸前高田市から車で約20分
問合せ

NPO 法人いわてアートサポートセンター

(〒020-0874 岩手県盛岡市南大通1丁目15-7 盛岡南大通ビル3 階)
TEL:019-656-8145 FAX:019-656-8146 MAIL:info@iwate-arts.jp

EVENTEVENT2

TITLE
鹿踊の練習を見学しませんか?

鹿踊の練習を見学しませんか?

詳しくは、こちら公式インスタグラムから

新型コロナウイルス感染症拡大防止対策について
①37.5度以上の発熱、咳やのどの痛み、強い倦怠感などの症状がある方のご来場はお控えください。ご来場の際にはマスクを着用し、公演中もはずすことの無いようにお願いいたします。 ②客席は、舞台からの距離を確保し、客席数を制限しております。 ③空調設備を適切に稼働させ、必要に応じて扉を開放するなど、十分な換気を行います。 ④お花やプレゼント・差し入れはお断りしております。 ⑤チケット販売の際にお伺いした個人情報は当日の受付のほか、新型コロナウイルス感染者が発生した場合にのみ保健所等の公的機関へ提供することがありますのでご了承ください。

映像

撮影・編集 井田裕基

インタビュー

レポート

住田町滞在レポート

    

■清水穂奈美(俳優)
 住田町へ通って柿内沢鹿踊を習い始めてから9年目になる。そのきっかけであるOdori-Dawns-Danceプロジェクトで、ディレクターのSioned Huwsはよくalways on the process と言っていた。習う、学ぶことに終わりはなく、常に過程にいる。今回の滞在でも新たに学び、触れたものがあった。掌のうえで愛おしい光沢を放つそれらを少しだけ紹介したい。
東峰神社へ続く坂道を歩いていくと、柿内沢鹿踊のからだになっていく感じがする。平地とは違う足腰への負荷の具合、山から吹き下ろす風、雑木のざわめき、眼下の景色。それらが一緒くたになって、からだの色を塗り替えていく感覚。
 柿内沢鹿踊は、まるで生態系そのものだ。土地、風景、生き物、文化、営み、暮らし、ひととひとの関係、そういったものが踊りの在り方に反映されている。だから、踊りの練習以外でも、踊りについて教わることが多々ある。
滞在メンバーの裕美さんがはじめて装束をつけたとき、からだが何かを吸収した感じがした。はじめて地元の踊り手の姿をみた新さんは「やっぱりみてると太鼓叩きたくなる」と言った。どちらも東京の練習ではみたことのない表情で、柿内沢鹿踊にちゃんと出会った瞬間に思えた。
 地元の踊り手も交えての演舞ではじめて、中立(なかだち)と呼ばれる「踊りを引っ張っていく」役割を務めた。練習をみた新さんが地元の踊り手による中立は「指揮者みたいだ」と教えてくれる。その動きをもう一度よく見てよく聞いてみると、踊り手みんなの息をまとめているようにみえた。息は、踊りの歌、太鼓、足の運びと深く繋がっている。そして、息のあい方は、どのように営みを共にしてきたかという地域共同体の在り方を反映するものだと思う。柿内沢鹿踊を柿内沢鹿踊たらしめているものの一つが、この息なんじゃないか。余所から来て習う者にとっては途方もない壁だが、一方で、芸能は土地を移ろうものだと思うと、東京と住田を行き来する者としてこの息とどう付き合っていけるか、益々興味惹かれている。
 練習でも発表会でも、中立として踊っているあいだ、斜め後ろから地元で中立を務める踊り手が太鼓のふちをカタカタ叩くのが聞こえる。こうやって教わっていくんだな、と思った。一緒に踊っている他の踊り手たちの足さばきや太鼓の音、歌も、中立の在り方を教えてくれるようだった。

■木村玲奈(ダンサー・振付家)
住田の皆さま、風土、柿内沢鹿踊りと出会って10年の節目に再び住田へ帰ることができました。普段離れた土地で暮らしていても鹿踊りで繋がってきたこと、お互い歳を重ねていく様を見合えることは幸せなことです。また、私が柿内沢鹿踊りに出会ったきっかけである振付家・ダンサーのショーネッド・ヒューズのことを住田の方々は覚えていてくださり、皆さん口々に「ショーネッドはどうしてる?元気にしてる?」と言ってくれたことも非常に嬉しかったです。
 29日の発表では、7年ぶりに装束をつけて踊らせて頂きました。ショーネッドも付けていたカシラと、尊敬する踊り手さんが使っているササラを身につけ、柿内沢鹿踊りの一員としてお客様の前で舞うことができたことは、ダンサーとして一生の宝です。演舞後、お子様から大人まで様々な方がカシラやタイコ、ササラを体験され、柿内沢鹿踊りの方々と和やかに交流されていたのが、今回の滞在で1番嬉しい瞬間であり、今回の企画を実施できて良かったと感じた瞬間でした。
 AIRはアーティストと土地を繋ぐひとつのハブのようなものと考えています。AIRを経た後も戻りたいと思っている (戻っている) 存在に対しても広く開かれていてほしいと思ってきたので、今回の滞在・試みはAIRの新たな在り方だと感じました。
お世話になった皆さま、本当にありがとうございました。地道な積み重ねと探求をこれからも続けて参ります。

■西井裕美(俳優)
 私は今回初めて住田町に滞在しました。その土地のものでない人間が伝統芸能の鹿踊を踊ることに対して、どう受け止めてくださるのか不安でしたが、初めて練習場で住田の皆さんと対面した時、何事もなかったようにすんなり中に受け入れてくださりとても安心しました。そして共に踊れたことに本当に感動しました。
 踊っている最中は、今まで感じたことのない躍動感がありました。一人一人が自分だけの動きを持っていて澱みがなく、バラバラなのにみんなが一つの生き物のような感覚もありました。
伝統芸能にここまで真剣に取り組んだのは初めての経験でしたが、振り付けの中に、振り付け以上の営みのようなものも感じ、そこに加わることができて光栄でした。受け入れてくださった住田町の皆さま、連れてきてくれた東京支部の仲間たちに感謝しています。
 また住田町を訪れて皆さんと踊れる日のために、私なりに鹿踊で大切なことについて想いを巡らせつつ練習していきたいなと思います。

■伊藤新(俳優)
 なんだかんだと五度目の訪問となった柿内沢。いつも泊めていただく家がある。その家の夫婦は二人ともとても働き者だ。「稼いでくる」「仕事してくる」と言っては、沢までの道を掃除したり、畑の草をとったりしている。最初、その言い方が不思議だった。自分の中で「仕事」や「稼ぐ」というのは、お金に変わることを指す言葉だった。暮らすために必要な営みが仕事で、仕事することを稼ぐと言うのだという当たり前のことが、当たり前にある暮らしが気持ちいい。ここに来ると暮らしを実感する。田圃に水を引く準備や畑の草をとるその仕事が柿内沢の風景をつくっている。柿内沢鹿踊のひとたちも、自分たちの仕事をしながら当たり前のように一緒に練習して準備してくれる。踊りのある暮らしのための仕事なのだと思う。いろいろな暮らしが重なって柿内沢に鹿踊のある風景がつくられるのだと、あらためて思った。

■若林里枝(ダンサー)
 今回は、6,7年ぶりに装束なしで、太鼓を付けて踊らせて頂いて、自分の体にまだ鹿踊りのリズムが残っていたことに、自分自身大変驚きました。
 2017年に初めて柿内沢に訪れ、ショーネッドさんから、この動きは鹿の動きからきていることや歌詩の情景を教わったこと、また、柿内沢の山の景色や庭先に入ってきた鹿の姿、そして、皆さんとの会話など、本当に沢山の想い出が、この太鼓と歌と鹿の動きから思い出されてきました。そして、その想い出がフラッシュバックされる度に、私は柿内沢でどれほど貴重な体験をさせて頂いていたのだろうと、改めて皆さんやこの土地のご先祖様に、感謝の気持ちが湧いてきたのです。
 そして、今回改めて思ったことは、柿内沢鹿踊りのゆったりした曲調や太鼓のリズムが、観ている人の心に響く音色だなということです。久しぶりに聴いたその音は、あの時と全く変わらず、むしろ更に心の奥深くまで響く、懐かしい音色でした。今回のイベントをキッカケに、この音を受け継いで下さる方が増えて、更に飛躍していかれることを願うばかりです。本当に今回も貴重な体験をありがとうございました。

■担当者コメント
 今回中立を務めた清水さんからあふれ出る「どうしようもなく柿内沢鹿踊が好き」というエネルギー。そこに共鳴する他のアーティスト達、保存会をはじめとする住田町の方々。両者の間にはお互いが大事にしたいもの、つないで行きたいものが共有されていると感じました。
 2015年のショーネッド・ヒューズ氏とのプロジェクトを経てアーティストたちは「柿内沢鹿踊東京支部」を作り、住田町と都市部を行き来しながら活動されています。その行動力に感服するとともに、このたくさんの可能性を含んだ活動が広がっていくことを願ってやみません。
そしてもうひとつ!アーティスト・イン・レジデンス(A.I.R)っておもしろい!初めてA.I.Rと出会った私の率直な感想です。

武田

  • NPO法人いわてアートサポートセンター(AIR/AIR担当)
  • 〒020-0874 岩手県盛岡市南大通一丁目15-7 盛岡南大通ビル3階
  • TEL:019-656-8145 FAX:019-656-8146
CONTACT